日本脳炎ワクチンは生後6か月から接種しましょう
NIID(国立感染症研究所)より、ブタの日本脳炎抗体保有状況の2024年度速報第11報が発出されました。
日本脳炎ウイルスは、ブタなどの宿主が持っており、そのブタを刺した蚊がウイルスを運び、ヒトに感染を起こします。
この全国調査では毎月宿主であるブタの血液検査を10頭行い、何頭のブタが感染しているかを調べ、日本脳炎ウイルスが活動していると推察される地域を調べ、注意喚起が行われております。
島根県ではほぼ毎年検査が行われており、毎年9月以降に100%の感染率となっておりますが、今年も例年通り蚊の活発になる8‐9月に100%となっております。
当院ではこのNIIDのデータをもとに、以前より注意喚起を致しておりますが、日本脳炎ワクチンは生後6か月になったらすぐに接種するようお勧めいたしております。
日本脳炎ワクチンの接種年齢は生後6か月~90か月(標準的には3歳から)とされていますが、日本小児科学会では2016年より「ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することを推奨」しています。実はこの標準的には3歳からというのは、ワクチン発売当初に作られたルールで特にエビデンスのないものであり、3歳まで無防備な状態で生活することになります。松江市の他の小児科クリニックでも生後6か月から勧める医院が増えてまいりました。6か月からの接種でしっかり抗体がつきますので、3歳まで待つメリットは一切ありませんし、6か月で接種するデメリットもありません。
日本脳炎ウイルスは感染すると、100人に1人程度で脳炎を発症すると推定されています。発症した場合、3人に1人程度が死亡し、生存できた方の半分には障害が残る疾患です。
こどもの健康を第一に考えてあげていただきたいと思います。
個人的にはこの小児科学会の提言には不満があります。まるで3歳が普通で、危険地域だけが特別に早く接種してよいよ、と言っているみたいであり、危険地域(NIIDの調査結果)を知らない医師に誤解を与えているからです。どこに居住していても生後6か月からするほうがよいと思います。アメリカCDCでは、日本は日本脳炎のリスクのある国と注意喚起されています。ご参考まで。